インスタの分析方法を調べると、無料の分析ツールの一覧が先に出てきます。ツールを入れる前に確かめてほしいことが一つあります。いま社内で足りていないのは、数字そのものなのか、それとも数字を毎月同じ形で残す手順なのかという点です。

ここで言う分析ツールとは、Instagramの外にあるアプリやサービスに自分のアカウントをつないで、数字をまとめて見られるようにするものを指します。連携すれば表やグラフは増えますが、判断に使う数字が増えるとはかぎりません。

アプリを足す前に、インサイトで取れる数字を確かめます

Instagramのアカウントをプロアカウントに切り替えると、アプリの中でインサイトという画面が使えます。ここは追加の費用なしで見られます。

取れるのは、投稿がどれだけの人に届いたか、そのうちフォロワー以外がどれだけか、いいね・コメント・保存・シェアがそれぞれ何件か、投稿からプロフィールへ移動した人が何人か、といった数字です。アカウント全体の数字と、投稿ごとの数字の両方があります。画面の構造と見る順番は、インスタのインサイトとは。見方と、画面のどこを見るかの順番にまとめました。

無料の分析ツールが表示している数字の多くは、このインサイトから取ってきたものです。元が同じなので、つなげば新しい事実が出てくるという性質のものではありません。見せ方が変わります。

受託の現場で相談を受けるとき、ツールが足りなくて判断できていない会社はほとんどありません。止まっているのは、先月の数字がどこにも残っていない、という側です。

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インサイトで分からないことを、先に把握しておきます

分からないことを知っておくと、ツールを足す判断が早くなります。

インサイトの数字は期間をさかのぼれる範囲に限りがあります。去年の同じ月と比べたいと思ったときに、画面から取れないことがあります。他社のアカウントの数字も、当然ながら見られません。競合の投稿は表示されている内容しか分からず、その投稿が何人に届いたかは外からは見えません。

投稿を見た人がそのあと店に来たのか、問い合わせたのかも、インサイトの中では追えません。プロフィールに置いたリンクが押された数までは分かりますが、その先で何が起きたかはウェブサイト側や店頭で記録します。

インスタの数字が良いのに売上が動かない、という相談の多くは、この切れ目のところで起きています。ここを埋めるのは分析ツールではなく、問い合わせのときに「どこで知りましたか」と聞く仕組みのほうです。

分析方法の中身は、条件をそろえて自分の過去と比べることです

分析方法という言葉で難しく考える必要はありません。やることは、条件をそろえて並べて、差が出た場所を探すことです。

そろえる条件は三つあります。投稿の種類、期間の切り方、比べる相手です。リールと静止画を混ぜて平均を出すと、リールの本数が多い月だけ数字が上がります。期間は月初から月末で固定します。比べる相手は自分の先月と前年同月にします。

他社の平均値や業種の目安を持ってくると、判断が止まります。フォロワーの数も投稿の本数も違う相手と比べても、次に何を変えるかが出てこないためです。指標ごとの分母の取り方はエンゲージメント率の計算式に、届いた数の数え方の違いはリーチとインプレッションの違いにそれぞれ書いています。

月ごとに手元の表へ写すと、比較できる期間が伸びます

分析ツールを入れる前に、表計算に数字を写す作業を先にやってください。手間は小さく、後から取り返せない部分を埋められます。

一行に一投稿、列は投稿日、種類、型の名前、届いた数、フォロワー以外の割合、保存数、プロフィールへの移動数の順で作ります。アカウント全体の数字は、別のシートに月ごと一行で残します。この形で残しておくと、アプリの画面からさかのぼれなくなった後も、去年の同じ月と並べられます。

型の名前を列に入れておくところが要点です。「手順の解説」「事例の紹介」のように社内の呼び方で書いておくと、月をまたいで型ごとの平均を出せます。投稿一本ずつの良し悪しではなく、どの型が自社で続くのかが見えるのはこの並べ方です。

写す作業は投稿した週のうちにやってください。月末にまとめて取りに行くと、一件ずつ画面を開き直すことになり、担当者の負担がそこに集中します。

数字を写す担当と、その表を読む担当は分けてかまいません。写すほうは手順どおりの作業なので、社内の誰でも引き継げます。読むほうは、型ごとの平均が動いたときに何を試すかを決める仕事です。この二つを同じ人が抱えると、忙しい月に両方止まります。

無料の分析ツールをつなぐと、増える作業もあります

ツールをつなぐと表は増えますが、代わりに社内で決めることも増えます。

まず、アカウントの連携を許可する作業が要ります。連携にはビジネスアカウントとFacebookページの紐づけが必要な場合が多く、権限を誰が持つかを先に決めておかないと、担当者が代わったときにつながらなくなります。権限まわりの整理はSNS担当者が代わるときに引き継ぐものに書きました。

次に、無料で使える範囲の確認です。無料の枠では過去にさかのぼれる期間や、登録できるアカウント数に制限が付いていることがあります。使い始めてから制限に当たると、それまでの記録が途切れます。

そして、見る画面が二つに増えます。アプリのインサイトと、ツールの画面の両方を開くようになり、数字が少し違う場面も出てきます。集計の区切りやフォロワー以外の数え方が同じとはかぎらないためです。社内では、どちらの数字を報告に使うのかを一つに決めてください。

外のツールを検討していい場面

ツールが要る場面もあります。次のどれかに当たったときです。

アカウントを複数持っていて、店舗別やブランド別に毎月同じ形で並べたいとき。予約投稿と分析を同じ画面でやりたいとき。競合として決めた数社の投稿を、自動で一覧に残したいとき。写す作業に毎月何時間もかかっていて、その時間を投稿の制作に回したいとき。

逆に、比べる相手も型の名前も決まっていない段階でツールを入れると、見る画面が増えるだけになります。手元の表が三か月分たまってから検討しても遅くありません。三か月あれば、自分のアカウントで数字がどれくらい動くのかが分かり、ツールに何をさせたいかを言葉にできます。

今月は、直近の投稿を十本、表計算に写すところから始めてください。列は上に挙げた七つで足ります。写し終わった時点で、自社にツールが要るかどうかも見当が付きます。