「先月から投稿が止まっています」。担当者から、そう報告を受けることがあります。理由を聞くと、忙しくなったから、というだけでは説明がつかないことが多いです。結論から言うと、運用が止まる原因は担当者の熱意や意識ではなく、仕組みが整っていないことにあります。素材のストック、承認のフロー、担当が一人に偏っている状態、数字を見る頻度。このどれかが崩れたときに、更新は止まります。この記事では、運用が止まる原因を四つに分け、担当者が最初に整えておきたいことを順に整理します。

運用が止まるのは熱意の問題ではない

「更新が止まった」と聞くと、担当者のやる気が落ちたからだと思われがちです。しかし受託で複数のアカウント運用に関わっていると、真面目に取り組んでいた担当者ほど、仕組みが整わないまま業務量が増え、続けられなくなる場面によく出会います。

仕組みが整っていれば、担当者が忙しい時期を迎えても運用は止まりません。逆に仕組みがなければ、担当者本人は変わらなくても、ちょっとした繁忙期をきっかけに止まります。運用が止まったときに担当者の意識だけを問題にすると、次に同じことが起きたときの対処が見つからないままになります。

運用開始からしばらくの間は、担当者の意欲だけで乗り切れてしまう時期があります。この時期に仕組みを整えないまま進めてしまうと、意欲が落ち着いてきた頃に、支えるものが何もない状態で運用を続けることになります。止まってから仕組みを作るのではなく、続いている間に仕組みを作っておく方が、後から立て直す負担は小さく済みます。

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素材が枯れる問題

運用を始めた当初は、撮れる素材や書ける話題が多くあります。数ヶ月続けると、その種類は尽きてきます。素材が枯れた状態になると、投稿のたびにゼロから内容を考えることになり、1本あたりにかかる時間が伸びていきます。

投稿の型を決めておけば制作時間は短くなりますが、型があっても中に入れる材料そのものが尽きていれば、型は埋まりません。型を用意することと、材料を絶やさないことは別の課題です。

素材が枯れる背景には、素材を「投稿する直前に集める」運用になっていることが多くあります。撮影や取材を投稿のたびに一から行っていると、忙しい時期に真っ先に後回しになるのが素材集めです。日常の業務の中で撮れるものをその都度残しておく、複数回に分けて使える企画をあらかじめ決めておくなど、素材を使い切ってから探すのではなく、使う前から貯めておく仕組みが必要になります。ストックの量を定期的に見返し、残りが少なくなってきた段階で補充に動く方が、ゼロになってから慌てて集めるより負担は小さくなります。

承認フローで止まる問題

投稿前に確認を挟む体制の会社では、承認の段階で更新が止まることがあります。承認者からの返信が遅い、最終的に誰がOKを出すのかが決まっていない、複数人の確認を経るうちに投稿するタイミングを逃す。原因は担当者の制作スピードではなく、承認の設計にあります。

受託の現場で、承認者が出張や休暇で不在になった数日の間、投稿の予定がすべて止まってしまった場面に立ち会ったことがあります。承認者を一人に決めておく、代理で確認できる人をあらかじめ決めておく、確認にかける期限を決めておく。こうした取り決めがないまま運用を続けると、承認者の状況がそのままアカウントの更新頻度に直結します。

承認フローは、投稿数が少ないうちは問題になりにくく、運用が軌道に乗って本数が増えてきた頃に詰まりとして表面化しやすい部分でもあります。運用を始めた時点では承認者が都度その場で確認していたやり方が、投稿数が増えるにつれて追いつかなくなり、承認待ちの投稿が積み上がっていく、という流れをたどることがあります。本数が少ないうちに承認の手順を先に決めておくと、あとから慌てて見直す必要がなくなります。

一人に依存する問題

投稿の作り方やアカウントの背景を、特定の担当者しか把握していない状態になっていないかも確認が必要です。この状態では、その担当者が休んだり、他の業務に追われたりした瞬間に、運用全体が止まります。

担当者が代わるときに何を引き継ぐかは別の観点として扱っていますが、ここで言いたいのは交代の場面に限った話ではありません。日常的に、判断の基準や投稿の型を担当者の頭の中だけに置かず、誰が見ても分かる形で残しておくことです。一人が抱え込む体制のまま運用が続いていると、その人が順調に働いている間は問題が見えず、離れた瞬間に一気に表面化します。

一人に依存している状態は、外から見ると気づきにくいという特徴もあります。投稿は順調に出ていて、数字も安定しているように見えるため、体制上のリスクは表面化しません。リスクが表面化するのは、その担当者が急に休んだときや、他の業務との兼任で手が回らなくなったときです。順調に運用できている時期こそ、担当が一人に偏っていないかを点検する機会にしてください。

数字を見る頻度を決めておく

運用の停滞は、投稿が止まるより前に、数字を見る頻度が落ちることから始まっていることが多くあります。日々の忙しさに追われて数字を確認する習慣が途切れると、反応が落ち始めていることに気づくのが遅れ、対処するタイミングを逃します。

数字を見るタイミングは、投稿頻度とは別に決めておく必要があります。週に一度なのか、月に一度なのか、頻度そのものはアカウントの状況によって変わりますが、決めておくことで、忙しい時期でも最低限のチェックだけは続けられます。数字を見る習慣が止まらなければ、投稿が一時的に減った時期があっても、状況を把握したまま次の手を打てます。

数字を見る頻度を決めるときは、何の数字を見るかもあわせて決めておくと、確認にかかる時間が短くなります。毎回すべての投稿を細かく振り返る必要はなく、リーチや保存など、あらかじめ決めた数項目だけを定点で追う形にしておけば、忙しい時期でも継続しやすくなります。

素材のストック、承認フロー、担当の分散、数字を見る頻度のうち、自分たちの運用でいちばん怪しいものを一つ選び、今週中に仕組みとして書き出してみてください。