「毎日投稿しないとフォロワーが増えないと聞いて、続けてきました」。運用を数ヶ月続けた担当者から、こう聞くことがあります。結論から言うと、投稿頻度の適正値は毎日でも週2回でもありません。今の体制で無理なく作り続けられる本数から逆算して決まる数字です。頻度だけを先に決めて後から本数を合わせようとすると、続けられる範囲を超えた計画になり、数週間で更新が止まります。この記事では、頻度より先に見るべき条件と、頻度を決める手順、頻度を上げる局面と落とす局面の判断基準を整理します。
「毎日投稿すべきか」という問いの立て方が違う
「毎日投稿すべきか」という質問には、実は答えがありません。頻度だけを切り出して聞かれても、何本でも作れる体制のアカウントと、担当者一人が他の業務と兼任しているアカウントとでは、出せる答えがまったく違うからです。
先に決めるべきは頻度ではなく、体制です。誰が、どれくらいの時間で、何本の投稿を作れるのか。この前提を飛ばして「毎日」や「週3」といった数字だけを目標に置くと、途中で制作が追いつかなくなります。投稿頻度は、体制を整理した結果として最後に出てくる数字であり、最初に決める数字ではありません。
他社アカウントが毎日投稿しているのを見て、同じ頻度に合わせようとする相談もよくあります。しかし他社の頻度は、その会社の体制の上に成り立っている数字です。撮影から投稿までを内製で回せる会社と、担当者が他業務と兼任している会社とでは、同じ「毎日投稿」でも負荷がまったく違います。体制が違うアカウントの頻度をそのまま真似ると、自社では続けられない計画になります。
頻度より先に見るべき条件。続けられるかと、型があるか
頻度を上げる前に確認することが二つあります。一つは継続性です。今の頻度を、来月も再来月も同じペースで続けられるかどうか。単発で本数を増やせても、翌月に反動で更新が止まれば、アカウント全体で見たときの投稿間隔はむしろ不安定になります。
もう一つは型の有無です。構成、写真の枚数、投稿文の組み立て方が毎回決まっていれば、1本あたりの制作時間は短くなります。逆に毎回ゼロから内容を考えていると、頻度を上げるほど制作の負荷が増え、どこかで破綻します。頻度を左右しているのは投稿の量そのものではなく、型があるかどうかです。
型に含める要素は、企業によって違いますが、見出しの位置、写真の枚数、投稿文の文字数、投稿前の承認フローなどが挙げられます。これらをあらかじめ決めておけば、担当者が変わっても同じペースで投稿を作り続けられます。逆にこれらが毎回すり合わせ直しになっていると、頻度を維持すること自体が担当者の負担になります。
受託でアカウント運用に関わっていると、頻度を先に上げてから型を後付けしようとして、制作時間が想定より伸び、数週間で元の頻度に戻す場面に何度か立ち会いました。型が決まる前に本数だけを増やすと、多くの場合この順番で失速します。
頻度を決める手順。作れる本数から逆算する
頻度は、次の手順で決めます。
- 投稿の制作に使える時間を洗い出します。担当者の稼働時間、外部への依頼状況を含めて確認します。
- 型を使った場合の1本あたりの制作時間を測ります。型がまだない場合は、まず型を先に作ります。
- 継続して出せる本数の上限を出します。撮影や素材集めにかかる時間も含めて計算します。
- 上限ぴったりではなく、余白を残した本数を基準の頻度にします。急な繁忙期や体調不良があっても崩れない余白が必要です。
| 制作の体制 | 確認すること |
|---|---|
| 担当者一人が兼任 | 他業務との兼ね合いで、継続して確保できる時間はどれくらいか |
| 専任担当がいる | 撮影・編集・投稿の各工程にかかる時間の内訳はどうなっているか |
| 外部に一部委託 | 依頼から納品までのリードタイムを踏まえた頻度になっているか |
繁忙期や連休を挟む月は、通常月より稼働時間が減ります。年間を通じて一定の頻度を保ちたい場合は、余裕がある月ではなく、稼働時間が減る月を基準に頻度を決めておくと、季節による波で更新が止まる事態を避けられます。
この手順を踏むと、頻度は最初に決める数字ではなく、体制から出てくる数字だと分かります。この順番を守ると、更新が止まりにくくなります。
頻度を上げるべき局面、上げなくていい局面
頻度を上げる判断が有効なのは、次のような局面です。
- 型が安定していて、1本あたりの制作時間がすでに短縮されている
- 新商品の発売やキャンペーンなど、期間を区切って、多くの人の目に触れさせたい目的がある
- 複数の切り口を試して、どの内容が反応を集めるかを検証したい
目的と結びついた頻度アップは、体制に無理がなければ検証の材料になります。
一方で、上げなくていい局面もあります。
- 型がまだ定まっておらず、1本あたりの制作時間が読めない
- 体制に余白がなく、他の業務にしわ寄せが行く
- 目的がはっきりしないまま、本数を増やすこと自体が目的になっている
こうした状態で頻度だけを上げても、投稿の中身が薄くなりやすく、保存やフォローには結びつきません。フォロワー数を増やす目的で頻度を上げたいという相談を受けることがありますが、頻度とフォローの関係は単純な比例ではなく、内容の質を伴わない頻度アップは逆効果になることもあります。
頻度を落とすときの判断
頻度を落とすことは、運用の失敗ではありません。体制の変化に頻度を合わせ直す、必要な調整です。人員が減った、他の施策に人手と時間を振る必要が出た、あるいは無理な頻度を続けて内容の質が落ち始めている。こうしたときは、頻度を落とす判断を先送りにしない方が、結果的にアカウントを守ります。
落とし方にもコツがあります。ある月から急に更新が止まるのではなく、段階的に頻度を落とし、落とした後の頻度を新しい基準として運用を続けます。フォロワーへの告知を大きく出す必要はありません。大切なのは、落とした頻度でも継続できる状態を作ることです。
別の現場では、体制の変更にともなって頻度を段階的に落とした結果、急に更新を止めた場合と比べて、その後の投稿が再び目に留まりやすい状態を保てた、という違いを見たこともあります。頻度を落とすかどうかより、落とし方の方が、その後の運用に影響します。
今の体制で、来月も再来月も無理なく作り続けられる本数を、まず書き出してください。その本数から逆算した頻度が、今日から使える基準になります。