「先月のレポート、結局どこを見ればよかったんでしょうか」。報告資料を送った翌週に、担当の方からそう聞かれたことがあります。数字は十数ページ分そろっていました。足りなかったのは、その数字を見て今月何を変えるのかという一行です。
インスタのレポートの作り方で最初に決めるのは、載せる項目ではありません。誰が読んで、何を決めるための紙なのかを先に決めます。ここが決まると、並べる数字は自然に絞れます。
月次レポートは、読む人を決めてから項目を選びます
同じアカウントの数字でも、読む人によって必要な面は変わります。
現場の担当者は、次の投稿を作るために読みます。どの型の投稿が届いて、どこで止まったのかが分かれば足ります。上長や役員は、続けるかどうかを決めるために読みます。先月と比べて増えたのか減ったのか、そのうえで今月は何にお金と人手を使うのかが要ります。
一枚のレポートで両方を満たそうとすると、担当者には粗く、上長には細かい資料ができます。読む人が分かれているなら、同じ数字から抜き出した一枚を上に付けてください。全体を作り直す必要はありません。
受託の現場で見ているかぎり、レポートは厚くするほど読まれなくなります。ページ数を増やしても、読む人が判断に使う数字は数個です。
一枚目に置くのは、今月の結論と次にやることです
一枚目に数字の表を置くと、読む人はそこで自分の解釈を始めます。解釈は書いた側がやってください。
一枚目に入れる要素は三つです。今月何が起きたのかを一文で書きます。次に、その原因として考えていることを書きます。最後に、来月やることを二つか三つに絞って書きます。数字はその根拠として、必要な分だけ添えます。
たとえば「届いた人数は先月と同じくらいですが、保存が伸びたのは手順を分けて説明した投稿でした。来月はこの型を四本作ります」という書き方です。ここに事実と、事実の読み方と、行動が並びます。読む側が判断できるのはこの形です。
社内で共有される資料は、一枚目だけが切り取られて回ることがあります。一枚目が独立して意味を持つように書いておくと、後の説明が短くなります。
来月やることを書くときは、投稿の本数や型のように、翌月に確かめられる形にしてください。「もっと保存されるようにする」と書くと、翌月のレポートでそれができたかどうかを判定できません。「手順を分けて説明する投稿を四本出す」と書けば、出したか出さなかったかで確かめられます。
数字は、届いた数、反応、プロフィールへの移動の順に並べます
二枚目以降は、投稿を見た人の動きの順に並べます。順番を毎月変えないでください。
図1 二枚目以降に数字を並べる順番と、それぞれに入る数字の名前
最初に置くのは、どれだけの人に届いたかです。リーチ数と、フォロワー以外に届いた割合を並べます。次に反応です。いいね、コメント、保存、シェアを分けて出します。まとめて「反応数」にすると、保存が伸びたのか、いいねが増えただけなのかが見えなくなります。
その次にプロフィールへの移動を置きます。投稿を見た人がアカウントの入り口まで来た数です。最後にフォロワーの増減と、プロフィールに置いたリンクがどれだけ押されたかを書きます。
この順番で並べると、数字が落ちている場所がそのまま原因の場所になります。届いた数は変わらないのにプロフィールへの移動が減っていれば、投稿の中身ではなく最後の一文を見る、という読み方ができます。指標の選び方そのもので迷っている場合は、SNSのKPIとは。運用で追う指標の決め方を先に読んでください。
数字はインサイトの画面から取り、期間を毎月そろえます
並べる順番が決まったら、その数字をどこから取るかを決めます。取る場所はインサイト(インスタグラムが用意している数字の画面)です。インサイトを開くところまでの道すじは、インスタのインサイトとは。見方と開き方にまとめています。
レポートで先に確かめるのは、画面に出ている期間です。InstagramのヘルプセンターのInstagramでアカウントとコンテンツのインサイトを見るには、過去7日間、14日間、30日間、90日間のインサイトを見ることができると書かれています。カレンダーで開始日と終了日を選ぶカスタム期間も選べますが、選べるのは過去90日以内と書かれています。同じページには、まずアカウントかコンテンツかを選び、そのうえで期間を調整すると書かれています。
図2 期間を選ぶところと、選べる期間の一覧(模式図)
ここから、月次の紙の作り方に二つの条件が付きます。一つは、期間をカスタム期間で月初から月末に指定することです。7日間や30日間を選んだままにすると、月の区切りとずれた数字を写すことになります。もう一つは、90日より前の月の数字は画面から選べないという点です。去年の同じ月と比べたいなら、その月に自分の表へ写しておくしかありません。
月初から月末で指定して写すのは、アカウント全体の数字です。投稿ごとの数字は、後ろの「毎月の作業を短くする段取り」のとおり、投稿した週のうちに写します。
前年同月と比べる型を続けるつもりなら、写す作業は今月から始めてください。一年分そろうまでに一年かかります。
投稿一覧は全部載せず、上位と下位を同じ数だけ出します
月の投稿を全部並べた表は、作るのに時間がかかるわりに読まれません。
上位三本と下位三本を出してください。それぞれ、投稿の画像、型の名前、届いた数、保存数を並べます。上位だけを載せると成功の報告書になり、次に何を直すかが出てきません。下位を同じ数だけ出すと、続けない型を決められます。
図3 投稿一覧の表の形。上位三本と下位三本で同じ四つの列を使う
このとき、必ず型の名前を書いてください。「事例紹介」「手順の解説」「商品の紹介」のように、社内で使っている呼び方でかまいません。名前が付いていない投稿は、翌月に再現できません。数字の比較は、型の名前が付いてから意味を持ちます。
数字を並べる前に、投稿の種類ごとに分けておくことも要ります。リールと静止画では届く人数の桁が違うため、混ぜて順位を付けると上位がリールだけで埋まります。リールの中の上位下位、静止画とカルーセルの中の上位下位、というように種類の中で並べてください。
公開した日から日が浅い投稿も、順位の比較からは外します。投稿直後の数日と、二週間たった後では届いた数が違います。月末に近い投稿は「まだ集計しない」と決めて、翌月の表に入れるほうが、月ごとの見え方が安定します。
テンプレート(型)を固定すると、作る時間と読む時間が両方減ります
インスタのレポートのテンプレートとは、毎月同じ場所に同じ数字が並ぶ、決まった形の資料のことです。
固定するのは三つです。項目の順番、比較する相手、期間の切り方です。比較する相手は前月と前年同月の二つに決めておきます。期間は月初から月末で毎回そろえます。この三つが月ごとに動くと、増えた減ったの話が全部やり直しになります。
形が固定されると、読む側は二回目から数字の位置を覚えます。説明する時間が短くなり、質問が中身の話に移ります。作る側も、毎月の作業が「数字を写して、一枚目を書き直す」だけになります。
一度作った型は、半年は変えないでください。項目を足したくなったときは、まず一枚目の文章で足りるかどうかを考えます。数字を足すのは、その数字で行動が変わると分かってからです。アカウント全体を見直す時期については、企業のインスタアカウント運用を点検するにまとめています。
毎月の作業を短くする段取り
レポート作成が負担になると、報告そのものが止まります。作る手順のほうを先に決めておきます。
月末にまとめて数字を取りに行くと、投稿ごとの数字を一つずつ画面から書き写すことになります。投稿した週のうちに、その週の分だけ表計算に写してください。月末の作業は、合計と一枚目の文章だけになります。
画像の切り取りも週ごとにやっておきます。上位下位の入れ替えは月末に起きますが、候補になりそうな投稿は途中で分かります。
外部に運用を頼んでいる場合は、レポートの形と提出日を契約のときに決めておいてください。形が決まっていないと、会社ごとに違う項目の資料が届き、担当が代わった月に比較が途切れます。自社で持っている表計算の形に合わせて出してもらうほうが、社内の説明は続きます。
作成の担当が一人しかいない場合は、その人が休んだ月にレポートが出ません。数字を写す場所と手順を一枚に書いて、共有できる場所に置いてください。書式が決まっていれば、代わりの人でも同じ形の資料を出せます。
今月のレポートを作る前に、まず先月分の資料を開いて、一枚目に行動が書いてあるかどうかを見てください。書いていなければ、そこに二行足すところから始められます。