「撮影は社内でやっているので、編集だけをお願いしたいです」。動画編集の代行を探している会社から、こう相談されることがあります。撮る人はいる、けれど切って文字を入れる時間が取れない、という状態です。

先に結論を書きます。編集だけを外に出すとき、金額と納期を大きく動かすのは、編集する人の腕前ではなく、渡す素材の状態と、最初に渡す指示の細かさです。同じ「1本」という発注でも、撮った素材が整理されているかどうかで、作業にかかる時間は何倍も違います。この記事では、素材の何が手間を増やすのか、指示として最初に何を決めておくのか、そして会社を選ぶときに聞いておきたい項目を順に書きます。

編集だけを切り出すと、金額の内訳が見えやすくなります

動画の制作をまとめて外に出すと、見積書には企画、撮影、編集がひとまとまりで並びます。この形だと、金額が動いた理由が分かりにくくなります。撮影の日数が増えたのか、編集の作業が増えたのかを、後から切り分けられません。

編集だけを切り出して発注すると、そこが分かれます。撮影の費用は社内の人件費として自社に残り、外に出るのは編集の作業に対する対価だけになります。何本出したか、1本がどれくらいの長さか、直しが何回入ったかという、数えられる要素だけで金額が決まります。

ただし、切り出したぶん自社に残る作業もあります。撮った素材を整理して渡すこと、どこを使うかを伝えること、上がってきたものを確認して直しをまとめること。この三つは編集を外に出しても消えません。ここを社内の誰がやるかを決めずに始めると、担当者が本業の合間に素材を探す時間が積み上がります。

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素材の状態が、編集の手間を最も大きく動かします

編集の作業時間は、完成した動画の長さではなく、渡された素材の量と状態で決まります。3分の動画を作るときに、10分の素材から作るのか、3時間の素材から作るのかで、見て選ぶ時間がまったく違います。

手間が増える素材には、いくつか共通の特徴があります。

  • 撮った長さの合計が多く、どこを使うのかが指定されていない
  • 同じ場面を撮り方を変えて何度も撮っており、どれが本番か分からない
  • 明るさや画面の向きが回ごとにばらばらで、並べると見た目がそろわない
  • 声が環境の音に埋もれていて、聞き取れる部分を探す必要がある
  • ファイル名が撮影機材のままで、中身を開かないと何の映像か分からない

受託の現場で見ていると、同じ本数の依頼でも、素材の渡され方によって作業時間の差がはっきり出ます。使う場面の目安が書かれた一覧と一緒に届く場合と、撮ったものが丸ごと入ったフォルダだけが届く場合とでは、編集に入る前の準備の段階で差がつきます。差がつくのは編集者の技術ではなく、探す時間です。

対策として重ねて負担になることはありません。撮影のあとに、使いたい場面の時刻を数行メモしておくだけで足ります。「3分12秒あたりの説明、5分40秒からの手元」という程度の粒度で十分です。

最初に型を決めておくと、直しの回数が減ります

編集の代行で往復が増える原因の多くは、完成イメージの共有ができていないことです。一本目が上がってきてから「文字が大きすぎる」「テンポが遅い」と伝える形になると、直しが二回、三回と重なります。

最初に決めておくと往復が減る項目を挙げます。

  • 文字(テロップ)の書体、大きさ、色、画面の中の位置
  • 冒頭の何秒で何を見せるか
  • 音楽の雰囲気と、音量の目安
  • 話の順番(結論を先に出すのか、順を追うのか)
  • 画面に入れてよいもの、映してはいけないもの

言葉で説明しにくい部分は、参考になる動画を1本渡すのが早いです。他社のものでも構いません。「この動画くらいの速さで、文字はこの大きさ」と伝えるほうが、文章で書くより正確に届きます。

一本目は試作として扱い、そこで型を固めるという進め方もあります。この場合は、一本目に直しが多く入ることを前提にして、二本目以降の直しの回数と分けて数えてください。

修正の回数と納期は、金額と一体で決まっています

見積書の金額は、修正が何回まで含まれるかとセットになっています。同じ1本でも、直し放題の条件と、二回までの条件では中身が違います。比べるときは、この条件をそろえてから並べてください。

納期も同じです。素材を渡してから何営業日で初回のものが上がるのか、直しを伝えてから何営業日で戻るのかを、数字で決めておきます。ここが曖昧なまま進むと、公開したい日から逆算したときに間に合わなくなります。

急ぎの依頼を受けられるかどうかも、先に聞いておく項目です。通常より短い納期を頼む場合に追加の費用がかかるのか、そもそも受けられないのかで、社内の段取りが変わります。

当社の場合の金額を、事実として並べておきます(2026年8月時点・税別)。3ヶ月以上の継続でお預かりする場合、素材をご支給いただいての編集は、月に作る点数で単価が変わります。リールの編集(カット、文字入れ、音楽、書き出し)は、月1〜3点で1点22,000円、月4〜7点で18,000円、月8点以上で16,000円です。10分までのYouTube用の編集は、同じ区分で45,000円、40,000円、36,000円です。都度のご依頼は定価となり、月1〜3点の欄の金額が適用されます。修正は初回から2回までを含み、3回目以降は別途となります。

会社を選ぶときに聞いておく五つのこと

編集の代行を請ける会社は多く、仕上がりのサンプルだけでは判断しきれません。継続して頼むつもりなら、次の五つを聞いてください。

  • 月に何本まで受けられるか(本数が増えたときに納期が延びないか)
  • 編集する人は固定されるか、案件ごとに変わるか
  • 素材はどの方法で渡すか、預けた素材はいつまで保管されるか
  • 音楽や画像の権利はどうなっているか、商用で使ってよいものか
  • 編集の元データを渡してもらえるか

四番目は、後から問題になりやすい項目です。使われた音楽が商用で使える条件のものかどうかは、納品された動画を見ただけでは分かりません。何を使ったのかを一覧で出してもらえるかを、契約の前に聞いてください。

五番目は、会社を変えるときに関わります。元データがあれば、次の会社は文字だけを差し替えて作り直せます。完成した動画のファイルしかなければ、一から作り直しになります。渡してもらえるのか、渡す場合に費用がかかるのかを確認しておいてください。

まずは、直近に撮った素材を1本分そのまま用意して、使いたい場面の時刻を数行書き出してみてください。その状態のものを見てもらえば、依頼先から返ってくる金額と納期が、自社の実際の素材に即したものになります。