「投稿が伸びたのに、店は普段どおりでした」という相談を、実店舗を持つ会社から受けます。
先に結論を書きます。店舗のインスタ集客は、投稿が何回見られたかではなく、店に来られる距離に住んでいる人が何人見たかで結果が変わります。遠方の人にいくら届いても、その人は来店しません。数字が伸びたのに店が動かないときは、届いた相手が商圏の外に偏っている場合があります。
表示回数の中身を、来られる人と来られない人に分けて読む
インスタの管理画面には、投稿を見た人の地域が出ます。市区町村まで表示される項目があり、上位に並ぶ地名を見れば、届いている相手がどこに住んでいるかは分かります。
店舗の場合、ここを最初に見てください。表示回数が増えていても、上位の地名が店から遠い場所ばかりなら、その伸びは来店に結びつきません。逆に、表示回数が横ばいでも、店のある市区町村の割合が上がっていれば、来店に近い方向へ動いています。
見るべき順番は、表示回数、地域の内訳、プロフィールを見た人の数、の三つです。表示回数だけを追うと、遠くでよく見られた投稿を成功と読み違えます。
地域を絞りたいときに、投稿の側でできること
広告をかけない通常の投稿では、届ける相手の住所を指定できません。それでも、近くの人に見つかりやすくする手はいくつかあります。
一つは、投稿文に地名を書くことです。市区町村名、最寄りの駅名、近くにある目印の建物、このあたりを普通の文章の中に入れます。地名で探している人の検索結果に出る可能性があり、見た人も自分の生活圏の店かどうかを判断できます。
もう一つは、投稿に位置情報を付けることです。店の場所を登録して、投稿のたびに選びます。同じ地域を見ている人の画面に出る道すじが増えます。
三つ目は、地域で共有されている話題に触れることです。近所の催し、季節の行事、道路や工事の状況など、そこに住んでいる人だけが分かる話です。遠方の人には響きませんが、商圏の中では読まれます。店舗のアカウントは、広く読まれることより、近くの人に何度も見られることを狙ってください。
店舗が複数あるとき、アカウントを分けるか一本にするか
支店がある会社から、必ず聞かれる質問です。判断の材料は二つあります。
一つは、商圏が重なっているかどうかです。同じ市内に二店舗あって客層も同じなら、アカウントを分ける意味は薄くなります。県をまたいで離れている場合は、投稿を見る人の生活圏が違うので、分けたほうが地域の内訳を読めます。
もう一つは、投稿を作れる人が各店にいるかどうかです。アカウントを分けると、その数だけ投稿を作る作業が増えます。作れる人がいない店のアカウントは、数か月で更新が止まります。止まったアカウントは、来店を検討している人が見たときに、営業しているのか判断できない状態になります。
分けない場合は、投稿文の中で店名と地名を書いてください。一本のアカウントでも、どの店の話かが読み取れれば、来店の道すじは切れません。
投稿を続ける人を、店頭に置くか本部に置くか
店舗の運用でいちばん崩れやすいのは、続ける体制です。
店頭のスタッフが投稿する形は、素材が集まりやすい代わりに、繁忙期に止まります。本部がまとめて作る形は、続きやすい代わりに、店の中で起きていることが投稿に入りません。受託の現場で長く回っているのは、写真と短い状況説明だけを店頭が上げて、投稿の形にするのは本部か外部、という分担です。
店頭に頼むことを増やしすぎないでください。撮る、選ぶ、文章を書く、投稿する、コメントに返す、まで全部を店の仕事にすると、忙しい日から順に飛びます。店頭にやってもらう作業を一つか二つに絞ると、忙しい月でも素材が途切れにくくなります。
コメントや問い合わせへの返信だけは、店の事情を知っている人に残す必要があります。在庫や予約の可否は、店の外から答えられません。返信が遅れると、聞いた人は別の店を探します。返す人と、返す時間帯を決めておいてください。
素材の集め方も決めておくと続きます。店の共有フォルダを一つ作り、撮った写真をその日のうちに入れる、という形にしている店舗があります。誰かが思い出したときに送る運用にすると、投稿を作る側が毎回催促することになり、そのやり取り自体が負担になって止まります。
インスタは来店を記録しないので、店側で確かめる
通販と違い、実店舗は投稿から来店までの間が切れています。インスタの管理画面を見ても、その人が店に来たかどうかは出ません。
店側で確かめる方法を、あらかじめ用意しておいてください。会計のときに一言聞く、投稿で紹介した商品の動きを見る、プロフィールに置いた予約や地図のリンクが押された回数を見る、といった方法があります。どれも完全ではありませんが、投稿と店の動きを結ぶ手がかりにはなります。
新しい商品や催しを投稿するときは、店頭で聞く言葉を決めておくと集計しやすくなります。「インスタをご覧になりましたか」と聞くだけでも、月をまたいで比べられる記録が残ります。聞き方が人によって違うと、数が揃わずに比べられません。
投稿でしか案内していない催しを一度作ってみる方法もあります。その日に来た人の数が、投稿を見て動いた人のおおよその規模になります。厳密な数ではありませんが、投稿と来店のつながりを社内で説明するときの材料にはなります。
商圏の外に広がった投稿を、成果と取り違えない
数字が跳ねた投稿ほど、慎重に中身を見てください。
店舗の投稿は、商品そのものより、面白い場面や珍しい商品のほうが遠くまで広がります。広がった結果、表示回数と反応の数は上がりますが、その多くは来店できない人の反応です。そこに合わせて投稿の内容を寄せていくと、届く相手がさらに遠くなり、店の売上と離れていきます。
判断の基準は、店のある地域の割合が上がったかどうかに置いてください。地域の割合が下がりながら表示回数だけが上がっている月は、来店から遠ざかっています。
今日できることを一つ挙げます。直近の投稿を三つ選んで、それぞれの地域の内訳を見比べてください。店のある市区町村の割合がいちばん高かった投稿が、次に作るべき投稿の型です。