「リールの編集をお願いしたいのですが、素材はこちらで撮ればいいんでしょうか」。リールの外注を検討している担当者から、最初にこの質問が出ることがあります。ここが決まっていないまま話を進めると、金額の話も納期の話も噛み合いません。リール代行(リール動画の制作や投稿を外部に任せること)で最初に決めるべきなのは、頼む相手ではなく、どこからどこまでを任せるかという範囲です。この記事では、範囲がどこで分かれるのかを四段階に整理したうえで、実際の進行で止まりやすい箇所と、依頼前に自社で決めておきたい項目をまとめます。

リール代行で任せられる範囲は、四段階に分かれる

同じ「リールの代行」という言葉でも、請け負う内容は依頼先によって大きく違います。おおまかには次の四段階に分かれます。

段階 任せる内容
編集だけ 自社が撮った素材を受け取り、切り貼りと文字入れをして納品する
編集と企画 何を撮るか、どんな順番で見せるかを一緒に考え、撮影の指示書を出す
撮影から編集まで 撮影の日程を組み、現場で撮り、編集して納品する
投稿と数字の確認まで 投稿文を書いて実際に投稿し、翌月に数字を見て次の内容を決める

「リール編集代行」という言い方で募集している出品者や制作会社は、上の表の一段目を指していることが多くあります。一方で「リール作成代行」「リール運用代行」という言葉は、二段目から四段目のどこかを指していて、書き手によって範囲が変わります。言葉の呼び方から範囲を推測せず、見積書や出品ページに書かれた作業の内訳で判断してください。

金額を比べるときも同じです。二社の金額に差があるとき、その差が技術の差なのか、含まれている作業の数の差なのかは、範囲をそろえないと分かりません。範囲をそろえずに一本あたりの単価だけを並べると、安く見えたほうに撮影も企画も入っていなかった、ということが起こります。

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実際に止まりやすいのは、編集ではなく素材の受け渡し

受託の現場で進行が止まる場面を見ていると、編集の作業そのものより手前でつまずいていることが多くあります。自社で撮影を持つ形にしたものの、撮った素材が期日までに集まらず、編集に入れないという止まり方です。

素材の撮影を社内に残すと、金額は下がります。ただし、撮る人を決めていないと、誰かの手が空いた時にしか撮影が進みません。店舗や現場を持つ会社の場合、撮影は本業の合間の作業になるため、繁忙期に真っ先に後回しになります。月に何本出すという約束だけが先に決まっていて、素材の供給が追いつかない状態が続くと、公開の間隔が空いていきます。

自社で撮る形を選ぶのであれば、次の三点を先に決めておくと止まりにくくなります。誰が撮るのか、いつまでに渡すのか、どこに置くのかです。特に置き場所は軽く見られがちですが、動画の受け渡しは容量が大きく、メールに添付できません。共有フォルダなどの置き場所を最初に一つ決めて、そこに入れたら連絡する、という手順にしておくと、探す手間が減ります。

出演者を誰にするかで、進め方が大きく変わる

リールで人が話す形にするかどうかは、見た目の好みの問題ではありません。進め方と、続けやすさに直接ひびきます。

社員が出演する形にすると、撮影のたびにその人の予定を押さえる必要があります。出演する人が一人だけの場合、その人が異動したり退職したりすると、それまで積み上げた見え方が続かなくなります。続ける前提で考えるなら、出演者を複数にしておくか、途中で交代しても成り立つ内容にしておくほうが安全です。

顔を出さない形も選べます。手元だけを写す、商品や現場だけを写して文字とナレーションで説明する、といった作り方です。撮影の負担は軽くなりますが、その分、何を見せるかの中身が問われます。顔を出さないから楽になる、という話ではありません。

外部の出演者に頼む場合は、費用の考え方が変わります。撮影の対価とは別に、出演した動画をいつまで、どのSNSで使ってよいかという取り決めが必要になります。この取り決めがないまま公開を続けると、あとから使用の範囲でもめることがあります。依頼先が撮影まで請け負う場合でも、出演者に関する条件は自社側でも把握しておいてください。

編集代行に渡す前に、見せ方の型を決めておく

編集だけを外に出す場合、一本目で決めておくと、二本目以降の出し戻しが減る項目があります。

  • 動画の長さの目安(何秒あたりに収めるか)
  • 文字の書体、大きさ、置く位置
  • 冒頭のつかみを、文字で見せるか、話し出しで見せるか
  • ロゴやアカウント名を入れるかどうか、入れるならどこに置くか
  • 音源を誰が選ぶか。会社として使ってよい音源の範囲が決まっているか

これらを最初に決めて一つの型にしておくと、以降は「この型で」と伝えるだけで済みます。逆に、毎回その場の感覚で指示を出していると、修正のやり取りが毎本発生します。修正の回数に上限がある契約では、この差がそのまま追加費用の差になります。

音源については、会社のアカウントで使える範囲が、個人のアカウントとは違う場合があります。編集を請け負う側が判断できないこともあるため、自社で使ってよい音源の条件を先に確認し、依頼先に伝えておいてください。

継続で頼むときに、書面で決めておく項目

単発で一本だけ作る場合と、毎月続けて作る場合では、決めておくべきことが違います。継続で頼むなら、次の項目を書面に残してください。

  1. 月に何本納品するか
  2. 一本あたり何回まで修正できるか。回数を超えた場合の扱いはどうなるか
  3. 自社が素材を渡す期限と、納品までの日数
  4. 素材が期限に間に合わなかった月の本数をどう扱うか(繰り越すのか、その月は減るのか)
  5. 完成した動画のデータを、依頼が終わったあとに受け取れるか
  6. 編集に使った素材の権利と、公開をやめたあとの扱い

四番目は見落とされやすい項目です。素材の遅れは自社側の事情で起きることが多く、契約に書いていないと、その月の未納分をどう扱うかが毎回その場の相談になります。繰り越すのか、その月は納品数が減るのかを先に決めておくと、後から気まずいやり取りをせずに済みます。

依頼前に、自社で埋めておく項目

相談に行く前に、次の項目を自分たちで書き出しておくと、依頼先からの提案が具体的になります。

  • 四段階のうち、どこからを任せたいか
  • 撮影を自社で持つ場合、撮る人と渡す期限を誰が管理するか
  • 出演者を立てるかどうか。立てるなら誰か
  • 月に何本出したいか。その本数を、素材の供給が支えられるか
  • 動画を何のために出すのか(見てもらう相手と、そのあとに取ってほしい行動)

最後の項目が決まっていないと、依頼先は「よく見られる形」を提案するしかありません。誰に向けて、そのあと何をしてほしいのかが決まっていれば、動画の中身も、投稿のあとに何を見て判断するかも変わります。この五項目を書き出したうえで、複数の依頼先に同じ内容を渡して見積もりを取ってみてください。範囲をそろえた状態なら、金額の差が何の差なのかを自分で読み取れます。