「うちもインスタで集客したいんです」。相談の最初によく聞く一言です。話を聞いていくと、来店を増やしたいのか、問い合わせを増やしたいのか、ネットショップでの購入を増やしたいのか、想定している行動が担当者本人の中でも定まっていないことがあります。結論から言うと、インスタ集客が成り立つかどうかは、投稿の出来より先に、何を集客のゴールにするかで決まります。この記事では、集客が成り立つまでの道すじ、投稿量を増やす前に詰めておく前提、業種による向き不向き、数字で成否を判断する方法の順に整理します。

「集客」とひとまとめにされがちだが、中身は一つではない

「集客」という言葉は、業種や目的が違う複数の行動をまとめて指すことがあります。来店を増やしたい店舗と、問い合わせを増やしたいBtoB企業と、ネットショップでの購入を増やしたいECでは、投稿で見せるべき内容も、投稿の先に用意する進み先も違います。

  • 来店を増やしたい:店舗の場所や雰囲気、実際に来店した人の反応が伝わる投稿
  • 問い合わせを増やしたい:サービスの使われ方や、対応できる範囲が伝わる投稿
  • 予約を増やしたい:予約までの手順が分かりやすく、予約ページへの入り口が分かりやすい投稿
  • ネットショップでの購入を増やしたい:商品の使用感や、購入ページへの遷移がスムーズな投稿

同じ「フォロワーを増やす」という表面上の目標を立てていても、その先にある行動が違えば、投稿で伝えるべき内容も評価すべき数字も変わります。集客を検討し始める段階で、まずどの行動を増やしたいのかを一つに絞っておく必要があります。

目的を一つに絞らないまま運用を始めると、ある月は来店訴求の投稿、次の月は採用訴求の投稿というように内容が入れ替わり、アカウント全体としてどんな人に何を届けているのかが伝わりにくくなります。複数の目的を同時に追いたい場合でも、投稿の企画段階でどちらを優先するかを決めておく必要があります。

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投稿から行動までの道すじ

インスタ経由の集客は、投稿を見る、プロフィールを見る、リンクや店舗情報から行動する、という順番をたどります。投稿がどれだけ伸びても、この先の段階のどこかで途切れていれば、集客にはつながりません。

投稿を見た人がプロフィールに進むかどうかは、投稿の中に「もっと知りたい」と思わせる要素があるかで変わります。プロフィールに進んだ人が実際に行動するかどうかは、自己紹介文とリンク欄が、想定している行動に合っているかで変わります。受託でアカウントを確認していると、来店を目的にしているのに、投稿からのリンク先がネットショップのトップページのままになっている例に出会うことがあります。

掲載面 投稿を見に来る人の状態
フィード 既にフォローしている人が中心
リール 新規の閲覧者が多く、初めて見る前提の説明が要る
発見タブ アカウントを知らない人が中心。プロフィールへの動線がより重要になる

掲載面によって投稿を見る人の状態が違うため、同じ投稿でもプロフィールへ進む割合は変わります。新規の閲覧者に多く届いている時期は、投稿単体で完結させず、プロフィールに進む理由を意識して作る必要があります。投稿の内容と、プロフィールからの進み先、そのリンク先のページまで、一続きの流れとして設計されているかを確認してください。どこか一箇所を直しても、他の段階が整っていなければ、集客の数字は動きません。

投稿量より先に詰めておく前提

投稿を増やす前に決めておくべきことが三つあります。誰に届けたいか、何を伝えるか、どこへ導きたいかです。

この三つが決まらないまま投稿数だけを増やすと、投稿ごとに伝える内容がばらつき、見る側にとってアカウントの印象がまとまりません。誰に届けたいかを先に決めておけば、投稿の中身に一貫性が生まれます。何を伝えるかを決めておけば、毎回の投稿でゼロから企画を考える手間が減ります。どこへ導きたいかを決めておけば、投稿のたびにリンクや文言を作り直す必要がなくなります。

誰に届けたいかを決めるときは、実在しそうな一人の人物像まで具体化すると、投稿の中身がぶれにくくなります。何を伝えるかを決めるときは、自社の商品やサービスの中で、集客のゴールに最も近い部分はどこかを選びます。どこへ導きたいかを決めるときは、来店なら地図や予約ページ、問い合わせならフォーム、購入なら該当する商品ページというように、行動の一歩手前にあるリンク先を具体的に決めておきます。

受託でアカウントの相談を受けると、投稿本数を増やす提案を先に求められることがあります。しかし誰に何を届け、どこへ導くかが決まっていない状態で本数だけ増やしても、投稿ごとの反応がばらつき、何が良かったのか振り返れなくなります。投稿量を増やす判断は、この三つを決めたあとにするべき判断です。

業種によって向き不向きがある

インスタ集客は、すべての業種で同じように機能するわけではありません。実店舗を持つ業種は、投稿から来店までの距離が近く、地域名や店舗の様子を含めた投稿が届きやすい傾向があります。一方、検討期間が長いBtoBの商材は、投稿を見てすぐに問い合わせに至ることは少なく、複数回投稿を見てもらったうえで、資料請求や商談の申し込みにつながる流れになりやすいです。

業種 投稿から行動までの距離 注意点
実店舗 近い。地域名や店舗の様子が届きやすい 商圏外への配信は反応が薄くなりやすい
BtoB 遠い。複数回の接触を経て問い合わせに至ることが多い 単発の投稿だけで成果を求めすぎない
ネットショップ 比較的近い。リンクが明確なら購入までつながりやすい 遷移先の商品ページの作り込みが同時に要る

ネットショップは、投稿から購入ページへの遷移が明確であれば、比較的短い距離で購入までつながります。ただし競合となる商品も同じ経路で並ぶため、投稿の内容だけでなく、遷移先のページの作り込みが成果を左右します。

自社の業種が、投稿から行動までどれくらいの距離を想定すべきかを把握しておくと、成果が出るまでの期間についても、現実的な見立てを持てます。

数字で成否を判断する

集客の成否は、フォロワー数では判断できません。フォロワーが増えても、想定していた行動が増えなければ、集客としては目的を果たしていません。

投稿を始める前に、何を計測するかを決めておいてください。集客のゴールに直結する数字を先に決めておきます。

集客のゴール 追うべき数字
来店 来店数、クーポンの利用状況
問い合わせ フォーム経由の件数
予約 予約ページからの予約件数
購入 リンク経由の購入数

リーチや保存といった投稿の反応を示す数字は、その手前の指標として見ておくと、投稿側と行動側のどちらに課題があるかを切り分けやすくなります。

自社が増やしたい行動を一つ選び、その行動につながる数字を、今日から記録し始めてください。投稿の反応だけを追いかけている間は、集客が成り立っているかどうかを判断する材料が手元にないままになります。