「月額の金額だけを見て社内に出したら、後から別の支出が出てきて、説明できなくなりました」。運用代行を導入した会社の担当者から、こうした話を聞くことがあります。結論から言うと、運用代行の費用は契約の月額だけでは決まりません。月額とは別に案件ごとに発生する実費があり、代行を頼んでも自社側に残る作業の時間があります。この三つを分けずに予算を組むと、途中で足りなくなるか、社内で承認を取り直すことになります。この記事では、費用がどこに分かれて発生するのか、予算を組むときに何を先に決めるのか、抑えたいときにどこから削るのかを順に整理します。金額そのものは任せる範囲によって変わるため、ここでは費用の構造を扱います。

費用は月額・実費・自社工数の三つに分かれる

運用代行にかかる費用は、次の三つに分けて考えると、どこが不足しているのかが見えます。

種類 中身 予算書に載るか
月額 契約に含まれる作業への対価。企画、制作、入稿、レポートなど 載る
実費 案件ごとに発生する支出。撮影の移動費、素材の購入、広告の出稿費など 載ることも載らないこともある
自社工数 確認、素材提供、社内調整、承認にかかる自社の時間 ほとんど載らない

三つ目が予算書に載らないことが、後の食い違いを生みます。金額の欄に現れないため、契約時点では存在しないものとして扱われます。実際には、担当者の勤務時間の中から出ていきます。

導入して数か月経った会社で「思ったより社内が大変だった」という話になるとき、増えているのは月額ではなく、この三つ目であることが多いです。契約の中身が悪かったのではなく、自社側で誰がどれだけ時間を使うのかを決めないまま始めたことが原因になっています。

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月額の外に出やすい支出

見積書に「別途実費」と書かれる項目は、会社によって範囲が違います。よく外に出るのは次のようなものです。

  • 広告の出稿費。運用代行の費用とは別枠で扱うのが一般的です
  • 撮影に伴う実費。移動費、スタジオやロケ地の使用料、機材のレンタル、出演者への支払い、商品の送付費
  • 素材の購入費。写真素材、音源、フォントのライセンス
  • ツールの利用料。予約投稿、分析、レポート作成に使うサービス
  • 通常の投稿以外の制作。キャンペーン用の特設ページ、季節ごとの企画、尺の長い動画

これらを月額の中に含めている会社もあれば、都度見積もりにしている会社もあります。どちらが良いという話ではありません。含まれていない場合に、その分を予算のどこから出すのかを決めておく必要がある、という話です。

実費の枠を持たずに月額だけで予算を組むと、撮影を一回追加するたびに社内の承認が必要になります。承認に時間がかかる会社では、提案が出てから実施までの間に企画のタイミングを逃します。結果として、最初に決めた型の投稿を繰り返すだけになり、途中で内容が固定化していきます。受託の現場でも、実費の枠を先に確保している会社の方が、企画の入れ替えが早く進みます。

代行を頼んでも自社に残る作業がある

運用を外に出しても、次の作業は自社に残ります。

  • 商品や社内の情報を渡す。素材が自社にしかない場合は、その収集も含まれます
  • 原稿と画像の確認、修正の指示
  • 業種によっては、法務や品質管理の部署を通す社内チェック
  • 撮影の日程調整と当日の立ち会い
  • コメントやダイレクトメッセージへの一次対応。誰が返すのかを決める必要があります
  • 社内への報告。上長や他部署へ数字を説明する時間

この時間を誰が持つのかを決めていない導入は、担当者一人の時間に吸収されます。担当者が異動や退職で抜けたときに、運用が止まる原因もここにあります。予算の資料に「自社側でこれだけの作業が発生する」と書いておくと、人が代わったときの引き継ぎでも、必要な時間を確保する根拠になります。

自社の作業を減らしたい場合は、確認の回数を減らすのではなく、確認の型を決める方が現実的です。修正の指示をどの粒度で出すか、誰が最終確認をするか、いつまでに返すか。この三つを決めておくと、往復の回数そのものが減ります。

予算を組むときは、金額より先に期間を決める

運用代行の予算で先に決めるべきなのは、金額ではなく期間です。理由は二つあります。

一つは、立ち上がりに時間がかかるためです。最初の期間は、素材を集め、投稿の型を作り、どの内容に反応があるかを確かめる段階に使われます。この時期の数字だけを見て判断すると、まだ何も試していない状態で打ち切ることになります。

もう一つは、判断の時期を決めていない予算は、成果を聞かれた月に打ち切られやすいためです。何か月の時点で、何の数字を見て、どうなっていたら継続するのか。これを契約前に社内で合意しておくと、途中で方針が揺れにくくなります。

このとき、見る数字は一つに絞ってください。複数の指標を並べたまま始めると、どれが動いたときに継続と判断するのかが決まりません。目的が認知なのか、問い合わせなのか、採用なのかによって、主指標は変わります。

契約期間についても、最低契約期間と解約の予告期間を確認しておく必要があります。判断の時期より解約の予告期間が長い場合、継続しないと決めた後も費用が発生します。予算を組む段階で、この二つの期間をそろえておくと、後の調整が要らなくなります。

費用を抑えたいときは、範囲より先に頻度を見直す

費用を下げたいとき、削る順番があります。上から順に検討してください。

  1. 投稿の本数を減らす。一本あたりの作り込みは維持したまま、頻度を落とします
  2. 撮影の回数をまとめる。一回の撮影で複数回分の素材を確保する組み方に変えます
  3. 素材の使い回しを前提に設計する。同じ撮影素材を、切り口を変えて複数の投稿に使います
  4. 自社でできる工程を引き取る。ただし、費用が自社の作業時間に移るだけである点は理解しておく必要があります

反対に、削ると後で困るのは、企画の工程とレポートです。企画を削ると、投稿は出続けても内容が前と同じものに寄っていきます。レポートを削ると、次に何を変えるかを決める材料がなくなります。費用を下げたのに成果も判断材料も同時に失う形になり、続けるかどうかを決められなくなります。

安い相手に切り替える前に、いま払っている費用のうち、どこが結果につながっていないのかを先に見てください。切り替えには引き継ぎの手間が発生し、その間の投稿も止まります。範囲を絞って同じ相手と続ける方が、総額では下がる場合があります。

まず、直近三か月に運用まわりで実際に出た支出を、月額・実費・自社の作業時間の三つに分けて書き出してください。三つ目が想定より大きかった場合は、契約の範囲を変える前に、社内での担当の持ち方を見直す方が先になります。