「三社から見積もりをもらったのですが、金額の幅が広すぎて比べられません」。YouTubeの依頼先を探している担当者から、そう相談されることがあります。原因のほとんどは、各社が想定している作業の範囲が違うことにあります。YouTubeの運用代行(自社に代わってチャンネルの企画や制作、投稿を担う仕事)は、企画、台本、撮影、編集、サムネイル画像、概要欄の文章、公開後のコメント対応と、作業が細かく分かれています。どこからどこまでを任せるかを自社で決めていないと、依頼先の比較は成立しません。この記事では、任せる範囲の切り方から依頼先を選ぶ道すじを整理します。

依頼先は「まとめて任せる」か「一部だけ切り出す」かで分かれる

YouTubeの依頼先は、大きく二つに分かれます。企画から公開後の対応までをまとめて引き受ける会社と、編集だけ、サムネイル画像だけといった単位で引き受ける個人です。ココナラのような、個人が自分の仕事を出品する場に並んでいるのは、後者が中心になります。

この二つは、比べる対象ではありません。自社に企画を考える人と撮影する人がいるなら、足りないのは編集の手だけなので、個人に切り出して頼むほうが噛み合います。企画から任せたいなら、単位で切り出しても社内に取りまとめの仕事が残ります。まず自社の中で、誰が何をできる状態にあるかを書き出してください。その空欄が、外に出す範囲になります。

SNS運用の基礎を4回のメールにまとめています
この記事で触れた指標の見方や、外注先の選び方をまとめた資料を無料で送ります。
講座の内容を見る

ココナラなどで個人に切り出して頼む場合

作業を単位で切り出して個人に頼む場合、確認したいのは出品の説明文に書かれた範囲です。編集の依頼であれば、素材の長さの上限、納品までの日数、修正の回数、字幕を入れるかどうか、使用する音源を誰が用意するか。ここが曖昧なまま購入すると、あとから追加の費用が発生します。

サムネイル画像を別の人に頼む場合は、動画の中身を伝える手間が自社に残ることも見込んでおいてください。編集した人とサムネイル画像を作る人が別だと、どの場面を切り出すかの判断を自社で行うことになります。作業が安く切り出せた分、社内で調整する時間が増える形です。

続けて頼めるかどうかも、購入前に聞いておく項目です。YouTubeは一本で終わる仕事ではなく、毎月同じ人に頼み続けられることが運用の前提になります。他の仕事の状況によって受けられる本数が変わるなら、その上限を先に確認しておいてください。

運用代行会社にまとめて頼む場合

まとめて任せる場合に確認したいのは、社内の誰が担当につくかです。会社と契約しても、実際に企画を考える人と編集する人は決まった個人です。提案を受けたときに、担当する人がYouTubeでどんな種類の動画を扱ってきたかを聞いてください。会社の実績の一覧ではなく、担当者本人の経験が運用の質に直結します。

作業の内訳を一枚に分けて出してもらってください。企画、台本、撮影、編集、サムネイル画像、概要欄、公開後の対応。この単位で金額と本数が分かれていれば、自社で担える部分を外して調整できます。一式でまとめられた見積もりは、比べる手がかりが少なくなります。

もう一つ聞いておきたいのが、月に何本を想定した金額かという点です。YouTubeは長い動画と、縦向きの短い動画とで、一本あたりにかかる手間が大きく変わります。長い動画を月に何本、短い動画を月に何本という前提を出してもらい、その前提が自社の予定と合っているかを見てください。前提がずれたまま契約すると、本数を増やしたい段になって追加の見積もりが必要になります。

進行の取りまとめを誰が担うかも、契約前に決める項目です。撮影の日程を押さえる、社内の確認を回す、公開の日を決める。この段取りの仕事は依頼先に含まれる場合と、自社に残る場合があります。含まれない場合は、社内の担当者に毎月一定の時間が発生します。その時間を見込んでおかないと、動き始めてから担当者が滞ります。

受託の現場では、社内に撮影できる人がいるのに撮影込みの提案をそのまま受け、途中から撮影だけ自社に戻した会社がありました。最初に作業を分けて出してもらっていれば、契約の段階で調整できた部分です。

「おすすめ」の一覧を見る前に確かめること

「YouTube運用代行 おすすめ」で出てくる比較記事は、依頼先を知る入り口としては便利です。ただし掲載の順番が何で決まっているかは、記事の中に書かれていない場合があります。掲載自体が広告の枠であることもあります。並び順を評価の順位として読まないでください。

一覧を見るときは、掲載されている会社の得意分野が自社と重なるかだけを見てください。取り上げられている事例が、自社と同じような業種や、同じような目的のチャンネルかどうか。個人向けの商品を扱ってきた会社と、法人向けの商品を扱ってきた会社では、動画の作り方が変わります。一覧はあくまで候補を集める場所として使い、判断は個別の面談で行うことをおすすめします。

チャンネルの権限と素材の受け渡しを先に決める

YouTubeで特に確認しておきたいのが、チャンネルの権限です。YouTubeのチャンネルは会社のGoogleアカウントに紐づいており、依頼先に管理の権限を渡す形になります。渡し方には、ログイン情報をそのまま共有する方法と、ブランドアカウント(一つのチャンネルを複数のGoogleアカウントで管理できる仕組み)にして相手に権限だけを渡す方法があります。後者を選べる状態にしておくと、契約が終わったときに権限を外すだけで済みます。

素材の受け渡しも、契約の段階で決めておいてください。撮影した元の映像、編集のデータ、サムネイル画像の元データ。このうちどこまでを納品に含めるかは、依頼先によって扱いが違います。元の映像が返ってこないと、あとから別の依頼先に切り替えたときに、過去の動画を作り直せません。

公開した動画の扱いも確認する項目です。契約が終わったあとも動画は残り続け、そこから問い合わせが入ります。概要欄に書いた連絡先や、動画内で案内した申し込みの入り口が、契約終了後も自社で更新できる状態かを見ておいてください。

依頼先を探し始める前に、社内で作業の一覧を作ってみてください。企画から公開後の対応までを行に並べ、自社でできる行に印を付ける。印が付かなかった行が、外に出す範囲です。その一覧を持って相談すれば、届く見積もりは同じ前提でそろい、比較ができるようになります。