「TikTokの運用代行、他社さんは月いくらでしたか」。見積もりの相談を受けたとき、こちらから先に聞くのはこの質問ではありません。月に何本出す前提の金額ですか、と聞きます。TikTok運用代行の費用は、1本あたりの単価を比べても見当がつきません。月に何本出すか、その本数を何ヶ月続けるか、そして誰が画面に出るか。この三つで金額のほとんどが決まります。この記事では、本数が費用を決める理由、料金の三つの形、出演者の問題、当社の実際の料金、そして見積もりで確認しておきたい項目を並べます。

費用を決めているのは1本あたりの単価ではなく月の本数

TikTokの見積もりを比べるとき、多くの担当者は1本あたりの制作費に目を向けます。ただし月額の合計を動かしているのは、単価よりも本数のほうです。

TikTokは、1本が当たるかどうかを事前に読み切れない場所です。同じ人が同じ型で作っても、伸びる本と伸びない本が並びます。だから制作会社は「当たるまで出し続ける」前提で本数を組みます。月に4本の提案と月に12本の提案では、単価が同じでも月額は3倍離れます。各社の見積もりがこれだけ開くのは、この本数の差がそのまま金額に出ているからです。

本数にはもうひとつの意味があります。TikTokでは、出した本の反応を見て次の企画を変えます。本数が少ないと、変える材料がそろうまでに何ヶ月もかかります。月2本の契約を半年続けても、手元に残る判断材料は12本分です。安く始めたつもりが、判断できるようになるまでの期間が延びて、結局は総額が膨らみます。

見積もりを受け取ったら、月額の数字より先に「月に何本か」を確認してください。そこがそろっていない見積もりは、金額を並べても比べられません。

SNS運用の基礎を4回のメールにまとめています
この記事で触れた指標の見方や、外注先の選び方をまとめた資料を無料で送ります。
講座の内容を見る

料金の形は三つに分かれる

依頼先によって金額の提示のしかたは違いますが、料金の形そのものは大きく三つに分かれます。どの形で見積もられているかによって、月額の意味が変わります。

ひとつめは月額固定です。決めた本数と作業範囲を毎月こなす形で、予算が読みやすくなります。ただし本数が固定なので、反応がよかった月に増やす、悪かった月に組み替える、といった動きは契約の外に出ます。

ふたつめは本数課金です。1本いくらで積み上げる形で、少なく始めたいときに向いています。注意したいのは、企画や分析といった「本数に紐づかない作業」が別項目になりやすいことです。制作費だけを見て安いと判断すると、月額の合計で逆転することがあります。

みっつめは成果報酬です。再生数やフォロワー数に単価を掛ける形が示されることがあります。この形は、費用の上限が事前に読めない点と、何を成果と数えるかの定義で揉めやすい点を確認してから選んでください。当社は数値の保証をしていないので、この形は扱っていません。

費用が跳ねやすいのは「誰が画面に出るか」

TikTokの見積もりで金額が大きく動くのは、編集ではなく撮影の側です。特に、画面に出る人をどう用意するかで費用が変わります。

社内の方が出る場合、追加費用はほとんど発生しません。スマホで撮った素材を送っていただければ、編集だけで形になります。一方、外部の出演者やインフルエンサーに頼む場合は、出演料の実費と手配の手数料が乗ります。撮影に照明と音声のクルーを立てるなら、その分も加わります。同じ「月8本」でも、社内の方が出る案件と外部の出演者を毎回立てる案件では、月額が別物になります。

受託の現場で最初に詰まるのは、編集の腕ではなく撮影の段取りでした。誰が、いつ、どこで撮るか。これが決まっていない状態で契約が始まると、初月は編集の手が空いたまま過ぎていきます。逆に、社内の方が出ると決まっている案件は、素材が届くだけで回り始めます。費用を抑えたいときに最初に見直す場所は、本数でも編集の質でもなく、この撮影の段取りです。

当社の場合、TikTokは制作と運用を分けて計算します

当社の料金表では、TikTokの運用は静止画やリールと同じ表で計算します。2026年8月時点の実額(すべて税別)は次のとおりです。

動画1本の制作は、素材をご支給いただいて編集だけを行う場合が22,000円です。月4〜7点で18,000円、月8点以上で16,000円まで下がります。企画から作る場合は32,000円で、同じく月4〜7点で27,000円、月8点以上で24,000円です。カット、テロップ、BGM、書き出しはいずれにも含みます。

制作以外は項目ごとの計算です。投稿カレンダー作成、進行管理と投稿作業、企画のご提案、コメントとDMの一次対応をまとめた運用管理は、この4項目だけを選ぶと54,000円、他の項目と合わせて5項目以上になると50,000円です。数値集計と型別分析と次月の打ち手をまとめたレポートは、3項目だけなら43,000円、5項目以上の区分では40,000円になります。撮影が必要な月は、担当者が伺うかんたん撮影が訪問1回2時間まで、月額プランで20,000円です。

たとえば月8本を企画から作り、運用管理とレポートを付ける形なら、制作が24,000円×8本で192,000円、運用管理とレポートで90,000円ほどになります。この積み上げ方を見ていただくと、月額を動かしているのが1本あたりの単価ではなく本数と項目数だということが分かると思います。

他社の見積もりを読むときも、同じ分け方で見てください。制作の費用と、それ以外の毎月の作業の費用が分かれているか。ディレクション費・進行管理費の項目がいくらで、そこに何が含まれているか。総額だけでは、制作の工程が薄いのか、進行管理が重いのかを区別できません。

見積もりを受け取ったときに確認する項目

金額の妥当性は、次の五つがそろって初めて判断できます。

月に何本作るのか。編集だけなのか、企画から含むのか。撮影は誰が行い、費用はどちらが持つのか。修正は何回まで含まれるのか。数値の集計と次の月の打ち手の提案は、月額に含まれるのか別項目なのか。

このうち一つでも空欄のまま金額だけが書かれている見積もりは、他社と並べても比較になりません。項目を埋めてもらうよう依頼してください。まっとうな会社であれば、その場で埋められます。

もうひとつ確認しておきたいのが、アカウントと素材の権利です。制作した動画のデータを契約終了後に渡してもらえるか、アカウントの管理権限が自社に残るかは、契約書の段階で決めておくほうが安全です。

依頼する前に自社で決めておく二つのこと

金額を比べる前に、発注する側で決めておくと話が早くなることが二つあります。

ひとつめは、月の本数の下限です。予算から逆算するのではなく、「最低これだけは出す」という本数を先に決めます。TikTokは反応を見て次を変える場所なので、本数が判断材料の量になります。予算が限られているなら、期間を短くして本数を保つほうが、期間を延ばして本数を削るよりも材料が早くたまります。

ふたつめは、誰が画面に出るかです。社内の方が出られるのか、出られないのか。出られないなら外部に頼む前提の予算が要ります。ここが決まっていない状態で相見積もりを取ると、各社の前提がばらばらになり、金額の比較ができません。

この二つを決めてから、月に何本、誰が出て、いくらか、という形で各社に投げてください。同じ条件で並べば、金額の差がどこから来ているのかが見えるようになります。