「動画を作れる会社を探しています」。この一言で問い合わせをいただくことがあります。ここで最初に確認するのは、その動画を会社紹介として1本作りたいのか、SNSに毎月出し続けたいのか、という点です。同じ「動画制作」という言葉でも、この二つは発注の単位も、決めるべきことも違います。

先に結論を書きます。SNS用の動画制作を頼むときに決めるべきなのは、1本にいくらかけるかではなく、月に何本出すかです。SNSでは1本の出来がそのまま結果になりません。何本か出して反応の出た型を残していく作り方になるため、見積もりの単位も「1本いくら」より「月に何点」で組んだほうが実態に合います。この記事では、SNS用であることが制作の何を変えるのかを順に書きます。

SNS用かどうかで、発注の単位が変わります

会社紹介やブランドの映像は、1本を作り込む発注です。公開したあとは数年単位で使いますし、撮影も編集も1本にかけられます。関わる人数も多く、社内の確認も何段階か通ります。

SNS用の動画は、その逆の性質を持ちます。1本の寿命が短く、同じ本数を毎月出し続けることが前提になります。反応が出るかどうかは出してみるまで分からないため、1本あたりの作り込みを上げるより、本数を確保して型を試すほうが実態に合います。

この違いは見積書の形にそのまま出ます。会社紹介の映像は「1式」で見積もられることが多く、SNS用の動画は「1点あたり×月の本数」で見積もられることが多くなります。依頼するときは、自分がどちらの発注をしようとしているのかを先に決めてから相談すると、話が早く進みます。

受託の現場で行き違いが起きやすいのも、ここです。会社紹介の映像を作った経験を基準にして「動画1本にこれくらいかかる」という前提で相談に来られると、SNS用に毎月出す話をしたときに金額の感覚が合いません。同じ言葉で違うものを指している状態なので、最初に用途をそろえておく必要があります。

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縦画面と、音を出さずに見られる前提

SNS用の動画には、作る側が最初から織り込む前提がいくつかあります。

  • 縦画面で作る。横向きで撮った映像を後から縦に切ると、両端が切れて見せたいものが画面から外れます
  • 音を出さずに見られても内容が分かるようにする。移動中や職場では音を消して見る人がいます
  • 冒頭の数秒で何の話かを見せる。続きを見るかどうかは、その数秒で決まります
  • 画面の上下に、SNSの表示が重なる余白を残す。名前や説明文が乗る位置に文字を置くと読めなくなります

これらは後から直せません。撮影が終わってから「縦で使いたい」と言っても、撮り直しになることがあります。すでに手元にある映像を使いたい場合は、それが横向きで撮られたものかどうかを、依頼の段階で伝えてください。

音の扱いも先に決めておく項目です。話している内容が中心の動画なら、画面に出す文字で全部読めるようにするのか、要点だけ出すのかで、編集の手間が変わります。

企画から頼むか、撮った素材の編集だけ頼むか

SNS用の動画制作を外に出すとき、範囲は大きく二つに分かれます。

一つは、何を撮るかを考えるところから頼む形です。毎月の題材を決め、話の順番を組み立て、必要なら撮影も行い、編集して納品するまでを外に出します。社内に企画を考える人がいない場合や、毎月の題材出しが負担になっている場合はこの形になります。

もう一つは、撮影までを自社で行い、編集だけを頼む形です。現場の様子やスタッフの話など、自社でしか撮れない素材がある会社に向いています。ただし、この形にすると「何を撮るか」の判断が社内に残ります。撮ったものが毎月集まらなくなって止まる例が多いので、撮る担当と撮るタイミングを工程の中に決めておいてください。

どちらにするかは、社内に企画を考える人の時間があるかどうかで決まります。撮影機材の有無ではありません。

本数がまとまるほど、1点あたりの金額は下がります

当社の場合の金額を、事実として並べておきます(2026年8月時点・税別)。3ヶ月以上の継続でお預かりする場合、動画は月に作る点数で1点あたりの単価が変わります。

企画から編集までを含む場合は、月1〜3点で1点32,000円、月4〜7点で27,000円、月8点以上で24,000円です。撮影済みの素材をご支給いただいて編集だけを行う場合は、同じ区分で22,000円、18,000円、16,000円です。都度のご依頼は定価となり、月1〜3点の欄の金額が適用されます。撮影を依頼される場合は別の項目になり、素材をご支給いただく場合は加算されません。修正は初回から2回までを含みます。

金額の形はどの会社でも違いますが、本数の区分で単価が変わる組み方は珍しくありません。見積もりを受け取ったら、その単価が何本を前提にした数字なのかを確認してください。少ない本数で試してから増やす予定があるなら、本数を増やしたときに単価が変わるのかどうかも、契約の前に聞いておいてください。

止まる原因は、撮影ではなく社内の確認にあります

毎月出し続ける前提で契約したのに、数ヶ月で本数が落ちる例があります。原因を追うと、撮影や編集が間に合わないのではなく、社内の確認で止まっていることが多いです。

会社紹介の映像は、1本にじっくり確認をかけて構いません。関係する部署が順番に見ても、公開までの期間が長いので吸収できます。SNS用の動画で同じ確認の仕方をすると、月に何本も出す前提と噛み合いません。1本ごとに複数の部署が順番に見る形にすると、確認を待つ時間の合計が制作の時間を超えます。

対策は、確認する人を減らすことと、確認する範囲を決めることです。事実の誤りと、社外に出してはいけない情報の二点だけを見る人を1人決め、表現の好みは制作側に任せる形にすると回ります。表現まで全員で見る形にすると、意見が割れたときに決める人がいません。

もう一つ、確認の締め切りを決めておいてください。いつまでに返事がなければ次に進む、という取り決めがないと、返事待ちのまま公開の予定日を越えます。

依頼する前に決めておく五つのこと

  • 月に何本出すか(1本の金額より先に決める項目です)
  • 撮影を頼むのか、自社で撮った素材を渡すのか
  • 誰が出演するか、または出演者を立てずに作るか
  • 画面に出す文字の量と、音を出さずに見られる必要があるか
  • 元データを渡してもらえるか、渡す場合に費用がかかるか

最後の項目は、依頼先を変えるときに関わります。元データがあれば、次の会社は文字を差し替えて作り直せます。完成した動画のファイルしかない場合は、一から作り直しになります。

まずは、今ある映像素材を確認してください。横向きで撮ったものしかないのか、縦で撮ったものがあるのか、それとも素材が一つもないのか。この三つのどれに当てはまるかで、依頼先に相談すべき内容が変わります。