「リールだけ外に出したいのですが、どこに探しに行けばいいのか分かりません」と、担当者の方から相談を受けることがあります。
先に結論を書きます。インスタのリールの外注(社外の会社や個人に制作を頼むこと)でつまずく原因の多くは、依頼先の力量ではなく、探し始める前に社内の条件が決まっていないことです。月に何本出すのか、素材は誰が用意するのか、社員が画面に出られるのか。この三つが決まっていない状態で候補を並べても、返ってくる見積もりの前提がばらばらになり、こちらは金額を並べても比べられません。探し方の話に入る前に、まず社内を固める必要があります。
リールの外注先を探す経路は、大きく三つあります
依頼先を見つける道すじは、制作会社、個人で受けている人、そして紹介の三つです。
制作会社は、窓口の担当者がいて、撮影と編集を別の人が受け持つ形が多くなります。担当者が休んでも代わりが立つので、毎月決まった本数を出したい会社には向きます。そのぶん、社内の確認を通す時間が入るため、急な差し替えには弱くなります。
個人で受けている人は、探す場所が、仕事を募集する求人型のサイト、発注者と受注者を仲介するサービス、SNSでの直接の問い合わせに分かれます。やり取りが一対一なので話は速く進みます。ただし、その人が体調を崩した月は止まります。本数が増えたときに広げられるかどうかも、契約前に聞いておく必要があります。
紹介は、同業や取引先から「うちはここに頼んでいる」と教えてもらう道すじです。仕事の進め方が事前に分かるので外れは少なくなりますが、紹介元の会社と自社では、出したい本数も素材の状態も違います。紹介だから合う、とは考えないでください。
三つのどれを選ぶかは、好みではなく本数と継続の見通しで決まります。まず一本試したいだけなのか、来年も続ける前提なのかで、向く相手は変わります。
候補を並べる前に、社内で三つ決めておく
見積もりを取り始める前に、社内で決めておく項目が三つあります。
一つ目は、月に何本出すかです。本数が決まっていないと、依頼先は一本あたりの金額しか出せません。継続で頼むのか、一度だけ頼むのかによって、相手の見積もりの組み方が変わります。
二つ目は、素材を誰が用意するかです。自社で撮った動画と写真を渡して編集だけ頼むのか、撮影から頼むのかで、依頼先の候補そのものが変わります。編集だけを請ける人は撮影に来ません。撮影から頼むなら、撮る場所と日程を空ける社内の段取りが必要になります。
三つ目は、社員が画面に出られるかどうかです。顔を出せる人がいるのか、手元だけなのか、それとも人を写さずに商品だけで作るのか。これが決まっていないと、依頼先は構成を組めません。受託の現場では、出演の可否が決まらないまま企画だけ進み、撮影の直前で作り直しになる例をよく見ます。
三つを紙に書いてから問い合わせると、返ってくる答えの精度が変わります。決まらない項目があるなら、「未定」と書いて相談してください。空欄のまま出すより早く進みます。
問い合わせの文面に何を書くかで、返答が変わります
「リールの制作をお願いしたいのですが、お見積りをいただけますか」とだけ送ると、一式いくらという金額しか返ってきません。その金額は、他社と比べる材料になりません。
最初の問い合わせに入れておきたいのは、次の項目です。月に出したい本数と期間、素材の状態(撮影済みか、撮影から頼みたいか)、出演者の有無、参考にしたいリールを二、三本のURL、投稿するアカウントが社名かどうか、始めたい時期、そして直しは何回まで想定しているか。
参考のURLは、この中でいちばん手間の少ない項目です。言葉で「テンポよく」「おしゃれに」と伝えても、受け取り方は人によって違います。実物を三本送れば、字幕の量も、話し手が出るかどうかも、音の使い方も一度で伝わります。自社と近い業種のアカウントから選んでください。
もう一つ、返事の速さもこの段階で見えます。前提を書いて送った問い合わせに対して、条件を確認する質問が返ってくる相手は、作業に入ってからも確認をしてくれます。前提を読まずに金額だけ返してくる相手は、納品後の直しでも噛み合わないことが多くなります。
実績を見るときは、再生数ではなく作りの一致を見る
依頼先のページに並んでいる実績動画は、再生数の大きい順に置かれています。その数字で選ばないでください。
再生数は、広告をかけたかどうか、元のアカウントのフォロワーがどれだけいたかで大きく動きます。その数字は、制作した人の力だけで決まったものではありません。並んでいる実績が、自社と同じ条件で作られたものかどうかを見てください。
見るのは三点です。自社が出せる素材で作られているか(大がかりな撮影が前提になっていないか)、字幕や画面の作りが自社の商品説明に合うか、そして同じ型の動画を何本も出しているか。三点目は続けられるかどうかの目安になります。一本だけ気合いを入れて作った動画と、毎月十本出し続けた動画では、作り方が違います。
実績が非公開の相手もいます。守秘の契約がある場合は当然なので、発注側がそこで候補から外す必要はありません。その場合は、公開できる範囲で構成の説明を聞いてください。どこを工夫したか説明できる相手なら、判断の材料になります。
最初は一本だけ頼んで、進め方を確かめる
候補を二社か三社に絞れたら、いきなり半年の契約に進まないでください。まず一本だけ作ってもらう進め方をおすすめします。
試しの一本で見るのは、仕上がりだけではありません。素材を渡してから初稿が出るまでの日数、直しを伝えたときの受け止め方、こちらが渡し忘れた素材を指摘してくれるかどうか。この三つは、動画の出来よりも、その後に毎月続くやり取りの重さを決めます。
受託の現場で、途中で止まる原因はほとんど素材の受け渡しです。撮った動画をどう渡すか、ファイル名をどう付けるか、期限をいつにするか。試しの一本で一往復すれば、その相手と続けたときの手間の量が分かります。
一本だけ頼むときは、その旨を最初に伝えてください。継続の前提で安く受けている相手に、後から一本で終わりだと伝えるとお互いに困ります。試したうえで継続を検討したい、と書いて出せば、その条件で見積もりが返ってきます。
探し始める前に、書き出しておくこと
依頼先の一覧を作るより先に、社内で埋める欄があります。月に出す本数、素材を出す人の名前、出演の可否、始めたい月、そして最初に頼む本数。この五つを紙に書いてください。
五つが埋まっていれば、制作会社に聞いても個人に聞いても、同じ前提の返事が返ってきます。埋まっていない状態で複数社に問い合わせると、条件の違う見積もりが並び、金額の大小しか比べられなくなります。
書き出したら、参考にしたいリールを三本選んでください。その三本を添えて二社に送るところから始めれば、今月中に一本目の話が動きます。